読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の四十 三頭山 2016/5/4

f:id:yoshixim:20170413165659j:plain

家族を連れて登る初めての百名山大菩薩嶺あたりがよかろうと、ずいぶん前から目をつけていた。

 

…と書き出してから良く見てみたら百名山筑波山ですでに家族と登っていたことに気づいたのだが。しかしこんなことをいうとなんだが、筑波山百名山における立ち位置というのはちょと例外的なところがあり、山そのものの山たる良さ(もちろんそれもあるのだが)よりも、もっと一般的な意味での象徴的な部分や、文化的な背景やら信仰の山としてのその存在のメジャーな感じなどによって選ばれている感も大いにあって、そういう意味でおれが家族を連れて行きたい百名山というのは、要するに「見やがれガキどもこれが山ってもんよ」と山の良さを存分に魅せつけてやれるようなどこに出しても恥ずかしくない立派な山のことなのである。。

 

などと書くと「じゃあ百名山以外の山は立派な山じゃないのか」と突っ込みを入れたくなるのが人情だろうが、もちろんそんなことはない。

そもそも「百名山」なんてものはとある一人の山好きの作家が勝手に選んだものなのであって、そんな肩書きを冠せられることで観光地的な意味合いを持たされて妙に人間の手の入った山なんかもあって本来的な山の良さが損なわれていることもあったりするわけで、「百名山がそんなに偉いのか、他の山と違うなにか特別なものなのか 」と詰め寄られれば「そんなの知るか!」と逆ギレしたくなるくらいのものである。

 

まあしかしその辺を突き詰めて考えれば山なんて地面の出っ張りに勝手に人間が名前をつけたものなのだから、そこをを否定してしまったら何も始まらない。地面の出っ張りを人は山と呼び、その山に色々と名前をつけて、やがてそれに登ることに何らかのロマンを見出し現在に至るわけなのだ。そのようにして先人たちが築き上げてきた登山文化に、おれのような若輩者がケチをつけるなど百年早い話なのであり「百個の良い山を選んで何が悪いというのか?」と問われれば「滅相もございません!」とひれ伏すくらいが関の山といった次第である。

深田久弥先生、申し訳ございませんでした。

 

そんなわけでこのゴールデンウィークには大菩薩嶺の稜線からの絶景を家族に見せつけてやり、親父がせっせと足を運ぶ山ってやつがどんなに素晴らしいものなのか思い知らせてやろうとおれは計画を立てたのだった。

そしてそれをやるならせっかくの連休だし、前乗りして早朝から歩き出せるようにと、大菩薩嶺の中腹にあるロッジ長兵衛に予約を入れ、万全の体制でゴールデンウィークに臨んだというわけだ。

 

で、前乗りするということは一日前に大菩薩嶺まで移動するわけで、その日一日も車で山の中を走ったりするわけだ。それならばということで前日にも途中に寄れそうなところで軽めに一つ登ってやろうと選んだのが今回の三頭山というわけなのである。

 

三頭山は東京都の再奥部に位置する山であり、奥多摩三山の一つ、また日本300名山にも数えらえれる。やけに「3」に縁のある山だが、山名の三頭山というのは読んで字のごとく、山頂が三つピークに分かれていることに由来する。西峰、中央峰、東峰とあり最高峰は中央峰、西峰は山梨県との県境に位置する格好になる。

 

奥多摩湖側から登ることもできるがそちらのコースはひたすら急登が続くきついコースのようだ。今回は家族連れで5歳になったばかりのチビも登ることもあり、登山コースとしては楽そうな「檜原都民の森」の駐車場を起点に周回することにした。コース全体が「都民の森」の中ということになる。

 

f:id:yoshixim:20170414220238p:plain f:id:yoshixim:20170413172104j:plain

都民の森駐車場から遊歩道と階段を使って森林館へ。施設のレストランで昼食後、左回りに周回。鞘口峠から桧原村奥多摩町の境となる尾根を辿り、見晴小屋を経て山頂へ。山頂は東から中央、西と進み、下りは都県境の尾根をムシカリ峠まで下り、途中から沢沿いとなるブナの道へ。三頭ノ大滝を経て森林館まで戻る。歩行距離は5.3kmで行動時間は子供の足に合わせて4時間弱。 

www.hinohara-mori.jp

 

f:id:yoshixim:20170413165658j:plain f:id:yoshixim:20170413165700j:plain

前日からの雨は朝には上がり、空はすっきりと青く澄んでいる。

都民の森駐車場へは昼頃に到着。休日などは満車で停められないことなんかもあるようだが、その辺はあまり考えずに来てみたらすんなり停められた。普通車100台分とのことだが9割方が埋まっている感じだった。

支度をしてまずは遊歩道を進み、階段を登って行く。

 

f:id:yoshixim:20170413165701j:plain f:id:yoshixim:20170413165702j:plain

階段を登りきったことろが「森林館」。休憩所やらレストランやら展示室やら丸太切り体験やらの複合センター的な施設である。ちょうど昼時なのでまずは腹ごしらえから。

 

 

f:id:yoshixim:20170413165703j:plain

レストランとちの実は標高1043m、東京都で一番高いところにあるレストランだそうな。それ以外は特筆することもない、至って普通な感じのレストランというか食堂である。そんな店で至って普通な感じの天丼とざるそばのセットを至って普通に美味しくいただき至って普通に幸せを感じるというのはありがたいことである。

 

f:id:yoshixim:20170413170549j:plain f:id:yoshixim:20170413170550j:plain

森林館の施設をバックにポーズを決める次女。親父の山登りに家族の中で一番共感を示してくれる。腹ごしらえも済んだところで出発だ。時刻はちょうど13時。

 

f:id:yoshixim:20170413165704j:plain f:id:yoshixim:20170413165705j:plain

森林館の先もしばらくは遊歩道歩き。木材工芸センターを過ぎ鞘口峠(さいくちとおげ)あたりから登山道に入っていく。都が管理しているだけあってよく整備されており、休憩できるような場所も何箇所かあった。

 

f:id:yoshixim:20170413165707j:plain

途中、犬を連れて登っている人がいた。ご高齢のご夫婦できちんとリードをつけていて、追いついたところで道を譲ってくれたので先に行かせてもらった。子供達は犬にはずいぶん慣れたようだがやはりちょっと怖く感じるところはあるようだ。

普通にリードをつけている分には犬が登山道にいても全く問題ないと思うのだが、時々リードをつけずに登山道を歩かせている人を見かけることがある。実はこの翌日行った大菩薩嶺でも山頂付近でリードをつけていないゴールデンレトリバーを歩かせている人がいた。

 

おれが一人で歩いている時にそういう人がいてもなんとも思わないのだが、子供を連れて歩くと考えると、正直ちょっと引っかかってくるところがある。大菩薩嶺にいたレトリバーはリードをつけずに歩いても問題ないのがよくわかる、おとなしくてきちんとしつけられた犬であるのが見て取れたが、それでも子供は緊張する。

出会い頭に接近した時などは反射的に飛び退くような反応を示すこともあり、そういうことが狭い登山道などであったら嫌だなという思いが禁じ得ないのである。

 

山に入れば野生動物もいるし、リードをしていても犬に対する子供の反射的な反応は同じだろうと考えれば、そういう子供を山に連れてくる側にも責任はあるのかもしれない。犬に慣れていない子供は介助犬でも盲導犬でも同じように怖がるものなので「怖くないぞ」と教えるのが親の務めなのかも知れないなと思わないでもない。アルプスの少女ハイジに出てくるヨーゼフや両神山のポチなんかの存在を考えるとそもそも山で犬をリードに繋げ、などということ自体がナンセンスなのかも知れない。

 

ただ、そんな感じでいろいろ考えてみても、ペットとして飼ってる犬を不特定の人が行き来する場所でリードなしで歩かせるってのはよろしくないなという気持ちは収まらないというのが正直なところだ。リードをしている犬を子供が怖がる時には「怖がるんじゃねーぞ」と言えるし何かあってもこちらにも非があると考える余地があるかも知れないが、放された犬に驚いてなんらか事故があったら、おれとしては全く許す余地はないと感じてしまうだろうと思う。

 

まあほとんどの飼い主さんには関係ない話であり、たまにいるそういう人にはちょっとこういう意見もあるぞと聞いといてほしいというくらいのものであるが。。

 

f:id:yoshixim:20170413165706j:plain f:id:yoshixim:20170413165708j:plain 

子供達は思いの外、ぐずることもなく頑張って歩く。山頂で食べるお菓子をいっぱい仕入れたのが効いているようだ。

 

f:id:yoshixim:20170413165709j:plain f:id:yoshixim:20170413165710j:plain

さらにずんずん歩く。距離はそんなにないが標高差500mを一気に登っていくので意外と急な登りが続く。

 

f:id:yoshixim:20170413165711j:plain f:id:yoshixim:20170413165712j:plain

木の穴の中には観音様。なんらか由緒のあるものなのか、誰かがなんとなくおいた程度のものなのか。。

 

f:id:yoshixim:20170413165714j:plain f:id:yoshixim:20170413165715j:plain

森林館から歩き出して1時間半程度で東峰の分岐へ到着。道なりに行くとそのまま西峰のほうへ抜けてしまう感じになっているためちょっと目立つ案内板が設置されていた。

山頂手前にはちょとした展望台があり東側のあきる野市方面への展望が開けていた。

【14:40】東峰に到着。そこから尾根を少し歩けば最高地点の中央峰だ。

 

f:id:yoshixim:20170413165716j:plain f:id:yoshixim:20170413165717j:plain 

【14:45】中央峰に到着。子供達待望のおやつタイム。奥のテーブル席に陣取っておやつを貪る子供達の写真もたくさん撮ったがここへの掲載はさすがにNGってことで。

 

f:id:yoshixim:20170413165718j:plain

ここから一旦大きく下って御堂峠、そこからちょと先の長い階段を登り切れば西峰の山頂となる。だが一度降りてまた登るというのが子供にはなかなか精神的に負担なようで、グズる娘を見るにつけ「最高地点は踏んだしもういいか」という思いが一瞬頭を過る。

ちょうどそこに別の家族連れがやって来て、おれと同じことを感じたようで、子供たちの「もう登りたくない」という言葉にあまり山が好きそうでないお母さんも「さっき山頂に行ったんだからここはもういいんじゃない」と便乗し、結局西峰をあきらめて巻き道から下って行ってしまった。

ただ一人残念そうな表情のお父さんに同情しつつ、そのお母さんのうんざりしたような感じを見て、なんとなく同じ轍を踏みたくないと感じたおれは、子供達に「三頭山に来て三つの山頂に登らんでどうする!」とハッパをかけ、最後の登りを登りきったのだった。

f:id:yoshixim:20170413170551j:plain f:id:yoshixim:20170413170552j:plain

そして登ってみた結果、三頭山の本当の山頂は西峰だということが発覚したのだった。

標高は他の二峰より少し低いが南西側に開けた山頂からはここまで来て初めて顔を見せる富士山を望むことができる。眺望も広さも山頂標識の作りも他峰よりも一枚上といった感じである。

 

f:id:yoshixim:20170413165719j:plain f:id:yoshixim:20170414172316j:plain

空気も澄んで綺麗に見えた富士山。下りに使った尾根からも見えそうなので逆回りで来れば山頂に立つ前にも見えるのだろうが、今回のコースではここに来るまで全く視界に入らなかった。それだけに感動もひとしおだ。

本来ならここでおやつタイムにでもしたいところだが、ついさっき中央峰でたっぷり休憩をとったのであまり長居することもなく下山コースへ。

 

f:id:yoshixim:20170413165720j:plain f:id:yoshixim:20170413165722j:plain

下りは山梨県との境界の尾根から。ムシカリ峠までは階段主体の急な坂を下り、峠で左へ分岐し「ブナの道」を降りる。しばらく降りると道は沢沿いとなりゴツゴツした岩の上を歩くようなところも増えてくる。下の娘のザックに紐(手ぬぐい)などを結びつけたりトレッキングポールの反対側を持たせたりして安全を確保しながら慎重に降りていく。

 

f:id:yoshixim:20170413165723j:plain f:id:yoshixim:20170413165724j:plain

沢沿いの道もなかなか急な下りで、石を踏んで徒渉する箇所も何箇所かある。雨のあとなどそれなりに注意が必要になるだろう。一時間ほどで三頭ノ大滝休憩所に到着。大滝は前を横切るように設置されたつり橋から眺めることができる。

 

f:id:yoshixim:20170413165725j:plain

三頭ノ大滝。落差33mというなかなか迫力ある美しい滝である。この辺りまでは観光客もそれなりに入ってくるようだ。道も遊歩道が整備されており駐車場からは40分ほどで歩くことができる。

f:id:yoshixim:20170413165726j:plain f:id:yoshixim:20170413165727j:plain

しばし滝を眺めたら、歩きやすい遊歩道(大滝の路)をたどって森林館まで戻る。あとは来た道を歩いて駐車場に戻るだけだ。駐車場着が16:40頃。ソフトクリームなんかを食べならがしばし休んでいると、17時で駐車場施設は閉館というアナウンスが流れ始めた。駐車場は17:30で閉まるとのこと。間に合わなかったら帰れない、なんてことがあるのだろうか…?

 

と、まあそんな感じの三頭山。あまり深く考えずに、「大菩薩嶺へ向かう途中にあって家族と手軽に登れそうな山」という条件だけで選んで来てみたが、思いのほか山として楽しむことができたように思う。コースは短いが急登続きで歩きごたえがあるし、今回歩いたルート以外にもいろんなコース設定がされている。休憩所やトイレなども随所に整備されているので手軽に本格的な登山体験をしたいという向きにはうってつけの山と言えるだろう。是非また家族を連れて行ってみたいと思う。

 

子供達も元気に歩いてくれたし、ゴールデンウィークの登山プランの初日としては上出来だ。そんな満足感を胸に、この日はここから翌日登る大菩薩嶺に向けての移動である。沈む夕日を追いかけて車は更に西へと、奥多摩の山道を走抜けていくのだった。

つづく

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ  

 

 ◼︎過去の奥多摩三山

yoshixim55.hatenablog.com