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おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の十参 四阿屋山 2015/1/24

山行記録 親子登山 秩父・奥武蔵

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前回の鎌倉制覇で勢いづいたおれは、さらに家族登山の流れに拍車をかけるべく次に巡ってきた週末の休日(休みは平日と土日と不定期なのだ)に、再び家族を山へと連れ出すことに成功したのだった。

子供を連れて行くとなると必然的に下のチビのレベルに合わせる必要が出てくるわけだが、3歳と9ヶ月になるこのチビ助がなかなかに成長著しく、もう少しレベルを上げても問題なさそうだったので、少しばかりおれの都合を織り交ぜて、埼玉秩父小鹿野町両神山系の末端に位置する四阿屋山(あずまやさん)へと出かけることにしたのである。

 

正直なところ、家族とおれの間には山登りについての温度差がそれなりにある。

まあ温度差というより、おれが言い出さなければだれも山に行こうなどとは言わない。

要するに常にお父さんの一人相撲なわけだが、「行こう」といえば喜んでついてくるのかと言えばどちらかというと「えー、面倒くさい」といったリアクションが返ってくる感じなのである。

だがここ数日山に行けるチャンスが得られなかったおれは何とかそのタイミングを作りたかった。そして何かいい口実が作れないかと神経を研ぎ澄ましていたおれに、ある日ヨメが言ったのだった。

「次の休みは温泉に入りたいね。近所の日帰りでいいから…」

 

温泉はムスメ達も大好きである。そしてその要求というのは近所のスーパー銭湯でも十分満たせるものなのであるが、おれはすかさずこう切り出した。

「ああ、温泉ならいいところがあるよ。秩父の方の道の駅で温泉に入れるところがあるから、ドライブがてら行こうぜ」

秩父?」ヨメの顔に警戒の色が浮かぶ。

「せっかく休みに温泉に入るなら、近所で済ますよりそれなりに風情があったほうがいいだろ? おれも少し山を眺めたりしながら、ドライブがてら行くほうが楽しいしさ」

「うーん、まあ、それもいいかもね」

「だろ? だったらちょうどいいところがあるんだよ。両神温泉薬師の湯って、名前もいいだろ? 近くにこの前みたいな軽~い感じのトレッキングコースもあるから、軽く家族で歩いて汗を流す感じでさ…」

 

とにかく秩父方面に向けて出発してしまえばあとはこっちのもんである。

「どんな感じのところを歩くの?」

「まあ、ちょとしたトレッキングコースで、軽く登れる感じの山だよ。最後の方にちょっとだけ険しいところもあるみたいだけど、そこは行かなくてもいいし。もし行くならそこから先はおれと長女だけでサクッと行ってくるなんてものありだとは思うけどね。きっと子供達には楽しい経験になるよ」

 

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そんな次第で休日の朝としては早めに、8時過ぎに家を出た。

四阿屋山のある小鹿野町までは交通の便があまり良くない。高速道路の出口からはかなり距離がある感じだ。最短時間で行くのなら関越道を花園で降りて少し下道を走って皆野寄居道路に乗って終点まで突っ切って行くのが辛うじて早そうではある。

が、どうせならここのところ毎日のように地図を眺めつつ、そのうち行ってみようと思っている比企三山(笠山・堂平山・大霧山)あたりの様子も伺ってみたい。そこで今回は関越を手前で降りて小川町から定峰峠を越えて秩父に入るルートを取った。

 

そもそも四阿屋山に目をつけたのは、その先にある両神山への興味からだった。

 埼玉県内で唯一の百名山(他の山は県境)である両神山を、この時のおれは次の目標にしていたのである。雪が溶けたらまず最初に行ってみたいと思っていたのでどうせ出かけるならならその辺の様子を見てみたかった。

言い換えるなら、このお出かけは家族との温泉ドライブの姿を借りた奥武蔵・秩父エリアの下見&プチ冬山登りという一石三鳥くらいを狙ったものぐさツアーだったのである。。

 

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道の駅から仰ぎ見る、たぶんあれが四阿屋山だ。

日頃の行いがいいためか、山の天気には良く恵まれる。

今回はここを起点に、程よく観光も意識して整備された薬師コースを辿って両神神社奥社に至り、その先短い鎖場などを経て山頂を踏んだ後、鳥居山の尾根伝いに戻ってくるという周回コースとなる。

 

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最初のうちは階段の登り。柵などもあって子供も安心して歩ける。

 

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途中で鳥居をくぐる。両神山系の末端に位置する四阿屋山には麓の両神神社里社と山頂手前の奥社がある。元は氏神だった社を大正時代に国策によって、この地で信仰されていた両神神社に合併したものとのこと。両神山にも当然両神神社がある。

しばらくなだらかな道が続く。

 

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途中の休憩舎から望む武甲山

山などにある壁がなくて屋根がある休憩舎を東屋と呼ぶが、四阿屋山の四阿も同じく「あずまや」と読み、意味も同じもの指しているようだ。ちなみに信州の百名山に「四阿山」というのがあり、読み方は同じだが秩父の方は「四阿屋山」と「屋」が余計に着く。

これを書いている今、普通に変換しても「あずまやさん」では「四阿屋山」とはならない。「あずまややさん」で区切りつつ変換している次第である。

 

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と、ためになる蘊蓄(うんちく)を並べているうちに両神神社の奥社に到着(写真はございません)。で、その先はほんの短い距離ではあるのだが、山頂まで少々急な鎖場が続く。

よってヨメと下のチビはここで待機しててもらって、長女と二人で山頂を目指すことにしたのだが、置いていかれるチビ助が「行きたい〜!」といって泣き始めてしまった。ここのところギャン泣きして自分の意思を通すという処世術を身につけつつあったチビは、この世の終わりでもあるかのように悲しそうに大声で泣くのだった。

なんとなく事情を濁しつつここまで連れてこられたヨメも、泣く子を押し付けられた格好で少々不満気だ。

「ちょっと寒いんだけど、どれくらい待ってればいいの?」

「さんじゅ…、いや、15分で戻る」

コースタイムを見ると、往復で35分とある。

 

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そこから先の道には結構雪が残っており、道幅が狭い場所が多く、おれは靴の上から履ける簡易スパイクみたいなのを装着して片手に鎖、片手にムスメみたいになりつつ進む箇所もあった。

そんな感じで山頂手前の鎖場に着くと、ちょうど若者の団体が降りてくるところだった。そのメンバーの山ガールさんに鎖があまり得意でない方がいたようで、かなり派手に奇声を上げつつジリジリと降りてくる。

まあ正直、ちょっと派手すぎるというか、男子に対するか弱さアピールみたいなものなのか、少し不純な動機を感じるくらいの派手な騒ぎようだ。その様を見たムスメがこちらに「あのお姉さん…」みたいな感じでニヤニヤ笑いを向けてくる。

「余計なことを言うんじゃないぞ」と目で制したが、入れ違いでこちらが登る番になると、ムスメはこれ見よがしに子猿みたいにスルスルと登って見せるのだった。子供ならではの無邪気さで、自分ができるところを見せたいという気持ちだったのだろうが、それを下から見上げる山ガールさん、「凄〜い!」などと言いつつちょっと引きつっているようにも見え、少々間の悪い感じになってしまった。

若者たちの去った山頂には他に人影もなく、青い空と冷たく澄んだ空気と秩父の山々の眺めをムスメと二人、存分に堪能することができた。

 

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山頂から眺める両神山。「待っていろよ」と心に誓う。

 

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滑るところでは下りはより慎重に。15分は過ぎたが、コースタイムよりは少し巻いた感じで両神奥社まで戻ることができた。

チビもヨメもいい感じに待ち時間を過ごせたようで、戻ってみると機嫌も回復していて一安心だ。

 

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帰りはここから別ルート。鳥居山の尾根を歩いていく。痩せた部分や急な下りなどがところどころあり、子供が勢いよく行くと少し危なく感じるところもあった。その度にヨメの一括で子供の動きがピタっと止まる。

 

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下山口にある観景亭。中華風の東屋を中心とした庭園になっている。

 

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観景亭の門を抜け、花菖蒲園を超え、両神神社の里社。なかなかに味のある佇まいだ。

 

下山後は楽しみにしていた温泉、両神温泉薬師の湯へ。表向きはこちらが本来の目的だったのだが、最後のおまけ的な感じになってしまった。子供達は半分だまして連れてきた割に、終わるとそれなりに満足気である。

実際自分の子供の頃を振り返ってみても、欲しい欲しいと駄々こねて買ってもらったおもちゃで遊んだことよりも、嫌々連れて行かれて半べそかきながらでも何かしらを成し遂げられた体験のほうが、時に自分を勇気付けてくれるような良い思い出になっている気がする。

 

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出発前に道の駅に立つノボリを見て狙っていたわらじカツ丼が売り切れていたので、温泉では地元の蕎麦をいただいた。天ぷらも蕎麦も申し分なく堪能したのだが、山を歩いたせいもあり、まだなんとなく物足りない感じだ。

結局今の蕎麦はおやつということにして、小鹿野名物のわらじカツ丼を求めて地元の名店(わらじカツ丼の本家)である安田屋に寄ることにした。30年ほどタイムスリップしたような寂れた商店街の裏通りにある、かなりアレな感じの店構えだが、店の方のアットホームな対応も、全く飾り気のない元祖わらじカツ丼もいろんな意味でかなりおれ好み。家族も大満足の秩父ツアーを締めてくれた。

 

お父ちゃんの独り相撲も家族のためということで。

  

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