おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の四十一 大菩薩嶺 2016/5/5

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そんなわけで大菩薩嶺

ここに至った経緯は前回にあらかた書いてしまったので、今回は単刀直入に本題から始めようと思う。一応前回のを下に貼っておくのでどうしてもその経緯が知りたい人は(いないと思うが)そちらから確認していただきたい。全般的にどうでもいい話だが。。

 

 で、三頭山を下山して奥多摩湖から国道411号「大菩薩ライン」を通って日も暮れた18時半過ぎに上日川峠のロッッジ長兵衛に到着。

上日川峠は大菩薩嶺に登るコースとしては最もメジャーな最短ルートの出発点。バス停や広い駐車場がある登山拠点となるわけだが、標高1600m(大菩薩峠の8合目)という高所にあり、ゴールデンウィークの少し前まで車道は雪に閉されていたりするような場所だ。

 

そんな山深い峠に建つロッジ長兵衛だが、宿泊施設としては普通の山小屋よりは一般のお客に優しい感じで、車で乗り付けられる上に家族で個室に泊まれておまけに風呂にも入ることができる。山小屋というよりちょとしたホテルのようなVIP待遇でありながらしかし料金は一般的な山小屋レベル。GW割増料金みたいな無粋なこともしていない。

 

とは言え運営している方は普通に山のおじさん方で、予約するために電話しても電波の届かない山の中にいたとかでなかなか出てくれなかったりということはあったが。。

しかしとても気さくないい人たちで、小さい子供を連れた我々に、色々と気を配っていただき至極快適に過ごすことができた。

 

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 そんなロッジ長兵衛だからGWに泊まるとなると予約も取れなかったりするんだろうなと思っていたが、この時は半月前くらいに連絡したにもかかわらず意外なほどすんなりと押さえることができた。

今日の段階(2017年4月後半の吉日)でホームページで確認したら、GWの予約がぜんぜん埋まっていないという、正直意味不明なくらいの状況である。

大菩薩の宿 ロッヂ長兵衛

 

本来ならこの辺の情報は秘密にしておきたいくらいロッジ長兵衛はナイスな穴場宿だったのだが、何かおれが気づかなかった理由があるのか。そもそも大菩薩峠自体のニーズというのはそんな感じなのか。前泊する必要はないというのが一般的な判断なのだろうか。。

 

まあその辺は色々事情があるんだろうが、まだGWの予定が決まっていなくて、家族で登山などと考えている人にはロッジ長兵衛に泊まっての大菩薩嶺登山というのはかなりおすすめだ(長兵衛の回し者ではないよ)。

 

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晩御飯は自家製ローストビーフに桜肉刺、各種山菜を天ぷらだったり和え物だったりとバリエーション豊富に味あわせてくれるご機嫌なもので、部屋は星空が見える天窓付きの個室を用意してくれた。風呂も広い浴槽に家族で浸かれてこれもまたご機嫌、おまけに夜中に外に出れば満点の星空ときたもんだ。

 

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で、朝は5時過ぎに起床し6時過ぎに定番朝ごはんをいただき、梁の上から鬼門に睨みを効かせるくまさんに別れを告げて7時過ぎに出発だ。

 

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上日川峠のロッジ長兵衛から福ちゃん荘、富士見荘、介山荘と辿って大菩薩峠に出たら、絶景を眺めつつ稜線を進み、雷岩で一休み。その後大菩薩嶺の山頂をピストンし、唐松尾根を辿ってロッジ長兵衛に戻る。距離にして7kmちょっと、行動時間は5時間ちょっとと、目安にしていたコースタイムよりかなりゆっくりペースでの行動となった。

今回はグーグルマップを埋め込んでみたけど、正直あまりいい感じに収まっていない気がするので、コースの詳細については案内板の方を参照してみていただければ。。

 

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【7:30】長兵衛を出て福ちゃん荘までの道。昨日と比べてちょっと寒い。朝早いからだろうか?

 

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連チャンで疲れが出たか、子供達のペースが上がらない。どんどん抜かされて取り残されていく感じだ。

 

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【7:50】福ちゃん荘前を通過。富士見平からは富士山がキレイ。ハイジ風のブランコで遊びたがる子供を急かして先へ。

 

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富士見山荘の少し先、廃業したという勝緑荘のあたりまで車で入ってこれる林道が登山道と平行して伸びていた。ここから先は一般車両進入禁止。思いの外寒く、ここで皆一枚中に着込んで先へ向かう。

 

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徐々に標高が上がるに連れて風が強くなってくる。振り向くとまばらな木々と笹原の間から富士山が覗いている。

 

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【8:50】 福ちゃん荘から約1時間で大菩薩峠に建つ介山荘に到着。稜線上は冷たい風がかなり強く吹いている。風から逃れるように介山荘で、上の娘の大好物の味噌田楽。熱々のこんにゃくで体を温める。

 

ところで介山荘というのは、小説「大菩薩峠」の作者、中里介山にあやかっての名称ということはよく知られた話だが、これを書いているうちに「その小説ってどんなん?」と不意に興味が湧いてきた。虚無的な剣士が出てくる時代小説、というくらいの知識はあったのだが、よくよく調べてみると、どうやらとんでもなくぶっ飛んだ面白そうな話のようである。以下のサイトの書評が面白いのでおヒマな方はどうぞ。

688夜『大菩薩峠』中里介山|松岡正剛の千夜千冊

 

そんな訳で登山とは関係ない話で恐縮だが、非常に興味が湧いたのでそのうち読んでみようと思う。ちなみにここで無料で読むことができる。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000283/card1726.html

 

話は山にもどる。

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遮るものの何もない稜線上。空は限りなく青く、風はそこはかとなく冷たい。。

昨日は半袖Tシャツで歩いたのに、今日はアウターの下にダウンを着込んでも立ち止まると身震いするような寒さだ。危険箇所などまるでない緩やかな稜線だと思っていたが、風に煽られて小さい子供など吹っ飛ばされそうである。

 

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風が吹き抜ける笹原。向こうに見えるのは稜線上の最初のピーク親不知頭。この稜線の眺めこそが大菩薩嶺という感じ。

 

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中里介山文学記念碑(五輪塔)を過ぎ、さらに登って親不知頭へ。ガレ場の急登を風に煽られながら登っていく。

 

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来た道を振り返る。介山荘とその背後に熊沢山。そしてその向こうに大菩薩湖と富士山が姿を現した。

 

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パノラマで撮るとこんな感じ。絶景ってのはこういうのを言うんだなと。

「ほら見ろ、これが大菩薩嶺、これが山ってもんだぜ!」

と、まさにそう言って、ヨメや娘たちに見せつけてやりたかった眺めである。

 

が、しかし、思いの外ヨメのテンションは低く、この景色を見てもさしたる感想も出てこない。

「おい、すごい眺めだぞ」と業を煮やして水を向けても「そうね」といった生返事。

というかなんとなく棘があるような感じですらある。

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ちなみにこれはこの先の岩場(神部岩)で撮った家族の写真だ。ほっかむりをしたヨメのふくれっ面がこの場の空気を如実に物語っている。

寒さと強風、足元の悪いガレ場に入ると子供の危なっかしい足取りが気になって、景色を楽しむ余裕など無いというのがヨメの言い分である。

 

 そしてそれにもにもかかわらずお気楽なダンナ(おれ)ときた日にゃ浮かれた足取りで楽しげに歩いてやがる。。

 

などとネガティヴな情念に囚われて苛立ちを募らせているようなのだ。

「せっかくのGW登山、万難を排して楽しもうぜ」などとおれがしたり顔で言おうものなら「あんたが排したその万難をアタシが背負ってるのよ‼︎」と過去の恨み辛みまで持ち出して噛みつかれそうだ。>

 

そんな次第でこの先はしばし、家族を気遣いつつ黙々と歩く苦行登山を強いられたのだった。

 

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親不知頭から少し降りた避難小屋のある鞍部の周辺が賽の河原。そこから登り返して、登山道は妙見ノ頭を左に巻き、さらに続く絶景の稜線が雷岩へと続く。さらにその先に見えているピークが大菩薩嶺だ。 

 

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先の家族写真を撮った神部岩のある標高2000m地点を過ぎ、さらに緩やかな稜線を行く。依然雲ひとつない晴天が続くが風は収まる気配もなく、ほっかむり状態で背中を屈めながら歩き続けた。

 

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【10:20】雷岩に到着。奥にあるこんもりとした岩の小山みたいなのが雷岩(だと思う)。その周囲が平坦な広場状に開けており、大勢の人が腰を落ち着けて休んでいた。

 

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正面に富士山、その右手には甲府盆地と絶景が広がる。

風を避けれる場所に腰を落ち着けて、我が家族もやっと一息つけそうな感じ。

 

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ラーメンを食べて写真を撮り、大菩薩嶺の山頂をピストン。雷岩から山頂までは5分程度の距離だが、山頂は周りを木々に囲まれて眺望はない。記念撮影して引き返すのがお約束といった感じである。しばし家族のGWレジャー登山を満喫するかのようなひと時を過ごすが、終始ほっかむり状態のヨメは後で写真を見て後悔していた。。

 

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山頂から雷岩まで戻ったら、唐松尾根を辿って降りていく。眼前に広がる絶景を眺めながらの贅沢な下り道だ。

 

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最後まで絶景と抜けるような青空の下の山歩き。雷岩から1時間ちょっとで福ちゃん荘に到着だ【12:50】。

 

寒さと強風、そしてヨメのほっかむりが残念ではあったが、目論み通り「これぞ山の醍醐味」と言える感じの絶景を堪能することができた。家族の中に何が残ったのかということを伺い知る術は無いが、お父さんは満足である。

そんな感じで2016年の2日間に渡るゴールデンウィークの山旅は幕を閉じた。

下山後は麓にある大菩薩の湯に浸かり、冷えた体を温めて帰途についたのだった。

www.s-seiun.co.jp

 

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◼︎最近出た新ラインナップ「奥多摩・奥秩父総図」。奥多摩から大菩薩嶺までの連なる様子が確認できたりと、眺めているだけで楽しめるオススメ地図。

山と高原地図 奥多摩・奥秩父 総図 2017 (登山地図 | マップル)

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◼︎市川雷蔵主演の映画「大菩薩峠」。登山とはあまり関係ないかも。 

大菩薩峠 DVD-BOX

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