読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の二十三 天狗岳 2015/6/4

山行記録

f:id:yoshixim:20160601222616j:plain

山登りを始めて1年。前回初めて2000m超の山に登り、次はとりあえずまた奥秩父あたりにでも行ってみようかと考えていた矢先、暇があれば眺めているガイドブックのページを何気なくめくっていると、ふと、今まであまり気に留めることのなかった天狗岳という山が目についた。

これまでほとんどまともに見ることもなかった「南アルプス八ヶ岳周辺」という括りの章の中にそのページはあったのだが、基本的に平日の日帰り、頑張っても前夜出発車中泊といった動きしか想定していない身としては興味の範疇にない別世界の山だったので、その頃は天狗岳八ヶ岳の中の一峰であるという認識すらおれにはなかった。

 

その天狗岳の何が目に留まったのかといえば、ガイドブックの行程表のなかにある「前夜泊日帰り」という文言。

「ほう、ここは日帰りできるのか。2600mもある険しい感じの山なのに」

まあ、よく考えればそれなりの高峰でも車である程度まで登るなりしてそこから先の標高差と考えれば、登る高さの条件は同じなわけで、高い山が即ち難しいというわけではなかろう。もちろん空気が薄かったり諸々気象条件などは違ってくるだろうが、天気の良い日を選んで登るのならそれほど大きな違いもあるまい。

 

で、その気になって見てみると天狗岳北八ヶ岳の最高峰で標高は2646mだが今回のスタート地点となる唐沢鉱泉は標高1860mあたりにあり、単純な標高差で800mもない感じ。歩行距離も8kmちょっとだから今まで歩いた山と比べて何が大変ということもなさそうだということに思い至ったのである。

そんな次第で出かける前日あたりに不意に思い至った天狗岳に唐突に出かけることにしたのだった。

f:id:yoshixim:20160601214559p:plain f:id:yoshixim:20160601214630j:plain
唐沢鉱泉から出発し、苔むした沢沿いに進んで唐沢鉱泉分岐、黒百合ヒュッテ。そこからは「天狗の奥庭」から始まる岩場を登って東天狗山頂へ。尾根伝いに西天狗、第二、第一展望台を経て尾根を外れ、出発地点へ戻る。チェックポイントの名前からしても逆から回るのが正解なのかもしれない。。歩行距離約8.4km、標高差約780m。

 

ところが最初の難所は出発してすぐに訪れた。

夜の一般道をひた走り、入間あたりで圏央道に乗って八王子で中央道に乗ったらあとは一路八ヶ岳へと思っていたのだが、最初に乗ろうとした圏央道の入り口がまさかの通行止め。ここから八王子までが夜間集中工事とかで使えないとのことだった。。

夜の11時頃。いきなりこんな仕打ちをされて、出発前に心が折れそうになる。一気に2時間ほど高速道路を走ってPAで一眠りのつもりでいたのに、ここから八王子ICまで下道で行かねばならない。高速に乗るまでで大きく時間をロスする格好だ。この時間帯で睡眠時間など考えると1時間でもロスしようものなら大変な痛手である。

 

だが、まあ嘆いてもどうなるものでもない。とりあえず行ってみて時間的に無理がでるようならそこで考えればいいと思い直し、国道16号を南へ。横田基地の脇など通り抜けながら、中央道に乗ったあたりで日付が変わり、力尽きるまでと走った結果、中央道は甲府南出口の手前、境川PAで1時半頃おれは眠りに就いたのだった。

 

f:id:yoshixim:20160601214631j:plain f:id:yoshixim:20160601214632j:plain

起床はAM5:00。荷台の特設寝床から抜け出すと、道を挟んで向こう側に奥秩父の山塊が広がっている。

目指す八ヶ岳はその向こう側。まだしばらく高速道路を走らなければならない。顔を洗ってコーヒーを買って、すぐに出発する。富士山、南アルプス、奥秩父の山々と、登山を始める前とは全く違った目で周囲を眺めつつ中央道を北西方面へ。奥秩父の西端、茅ヶ岳あたりが切れるとその向こうについに目指す八ヶ岳が顔を出した。

 

f:id:yoshixim:20160601214633j:plain f:id:yoshixim:20160601214634j:plain

八ヶ岳PAで一休み。ここからは八ヶ岳を北に見上げる感じ。そこから西側に回り込み、諏訪南で高速を降り、あとはのどかな農道を、正面に八ヶ岳を見据えながら進んで行く。最後は一気に標高を上げ、アプローチの林道は途中で未舗装になり、荷物満載の軽自動車はいっぱいいっぱいの感じで走り続け、唐沢鉱泉手前の公共駐車場に7時過ぎに到着した。

 

f:id:yoshixim:20160601214635j:plain f:id:yoshixim:20160601214637j:plain

今回は素通りとなったが、余力があればぜひ寄らせてもらいたい感じのいい感じの佇まい。日帰り入浴も可とのこと。何で風呂ぐらい入らなかったかと今になって後悔の念が湧くが、家族を置いて一人で遊んでることへの負い目からどうしても余計な楽しみを控え勝ちである。

そこに何らかの目的意識を導入することで負い目を軽減する方策を現在模索中だ。

源泉の水(湯)が青く澄んでいい感じ。

 

f:id:yoshixim:20160601214636j:plain f:id:yoshixim:20160601214638j:plain

まずは左手方向に直進する感じで唐沢鉱泉分岐を目指す。が、どちらかというと橋を渡って右手に分ける西尾根方面から回る方が、ここからの周回コースではメジャーな歩き方のようだ。事前のリサーチが甘かったようである。

おれの歩いた方のルートもそれはそれですごく良かったし、根本的にはどっちでもいいのだと思うが、今回の山行で出会った人は10人ほど、全部逆から歩いてきた感じだった。第一、第二と展望台を通って山頂を超え「奥庭」といく方が確かに流れとしては正解なのかもしれない。最後に黒百合ヒュッテで一休みもできるし。

 

f:id:yoshixim:20160601214639j:plain f:id:yoshixim:20160601214640j:plain

【7:27】
というわけでこちらのコースはのっけからマイナスイオンを全身に浴びながらの、谷沿いルートでスタート。深い森に包まれるような清々しい気分で歩き出す。

 

f:id:yoshixim:20160601214641j:plain f:id:yoshixim:20160601214642j:plain

逆回りコースということもあってか最初のうちは誰とも出会わない。天気の割に冷んやりした空気を吸い込みつつ、苔むした森の中の岩がゴロゴロした道を進んでいく。

 

f:id:yoshixim:20160601214643j:plain f:id:yoshixim:20160601214644j:plain

【8:26】
一時間ほど歩いたところで渋の湯方向からの道と合流する。ここから黒百合平まで沢伝いの登りが続く。

 

f:id:yoshixim:20160602131629j:plain f:id:yoshixim:20160602131630j:plain

ごろごろ転がる石の間を水が流れていく。斜面を見ると岩の表面には苔がびっしり。

 

沢の湧き出すあたり。ここを過ぎれば黒百合平だ。聞こえるのは水の音と鳥の囀りばかり。

 

f:id:yoshixim:20160602131632j:plain f:id:yoshixim:20160602131633j:plain

【9:14】
黒百合ヒュッテに到着。建物の前のベンチで軽く一休みするが、まだ始まったばかりでゆっくりする気にもなれず、すぐに出発。ヒュッテ向かい側の斜面に雪渓があるが、その右側の岩の道を登っていく。

 

f:id:yoshixim:20160602131634j:plain f:id:yoshixim:20160602131635j:plain

岩を踏みながら一気に登る。見下ろすと黒百合ヒュッテ周辺はなかなかいいロケーションだ。

 

f:id:yoshixim:20160602131636j:plain f:id:yoshixim:20160602134805j:plain

【9:32】
岩場を登り切ると一気に視界が開け、行く手には目指す双耳峰が姿を表す。向かって左が東天狗、右が西天狗。そしてその手前に摺鉢池。水が少なくてただの水たまりのようだ。

 

f:id:yoshixim:20160602134806j:plain f:id:yoshixim:20160602134807j:plain

ごろごろと転がる巨岩の上を歩いていく。この辺りが天狗の奥庭と呼ばれる一帯。

 

f:id:yoshixim:20160602134808j:plain f:id:yoshixim:20160602134809j:plain

徐々に険しさを増す岩場を乗り越え進むと中山峠から尾根伝いにくる縦走路と合流する。案内表示の向こうに広がるのは北八ヶ岳の山々。一番奥の少し高いのが蓼科山と思われる。

 

f:id:yoshixim:20160602134810j:plain f:id:yoshixim:20160602134811j:plain

北八ヶ岳に背を向けてさらに乗っていくと上方に東天狗の山頂標が見えた。気合を入れ直して登り詰め【10:44】東天狗の山頂に到着。

 

f:id:yoshixim:20160602143448j:plain

東天狗山頂から手前が西天狗右手奥に北八ヶ岳。遥か向こうの壁は北アルブス。

 

f:id:yoshixim:20160602143449j:plain

東天狗から南八ヶ岳。山塊中央の突起が最高峰の赤岳。手前右端が西天狗。

 

ここまで終始、曇りがちながら天候は穏やかな感じだったが、東天狗に着くとそこにはかなり強い風が吹き荒れていた。急に風が出てきたのかこの場所がとりわけ風が強いのか定かでないが、山頂から見ると今までまったく気にしていなかったのに雲がすごいスピードでぐんぐん流れていく…

そしてちょっと気を抜いた瞬間、突風に襲われて帽子がすっ飛んでいった。

 

f:id:yoshixim:20160602151149j:plain f:id:yoshixim:20160602151150j:plain

風に飛ばされた帽子は山頂から北側の崖の下に吸い込まれるように消えていった。上の画像は西天狗側から撮ったもので遠くから見れば拾いに降りていけないこともないかなと思えるが、風の荒れ狂う東天狗の山頂から眺める断崖はかなり危険に見えたので、その時はそんな発想はまったく浮かばなかった。

というか拾いにいくのはかなり大変だろうと思うが。。

 

で、かなり危険な状況と判断し、早々に東天狗を後にしたのだが。西天狗に向かう稜線に降りてみると…

f:id:yoshixim:20160602152734j:plain f:id:yoshixim:20160602152735j:plain 

背後の曇り空が嘘のような青空が顔を出している。そして山頂の暴風が嘘のような穏やかな空気なのだった。

いったいさっきの風はなんだったのだろう。一時的にこの辺りを突風が襲ったのだろうか… 振り返って東天狗の山頂を見上げるが、少し離れてしまっただけなのにその状況を確認するのは難しかった。

稜線をしばし歩きガレ場を登っていく。

 

f:id:yoshixim:20160602152737j:plain f:id:yoshixim:20160601222617j:plain 

【11:03】
西天狗山頂に到着。標高2646m、本日の最高地点だ。おっさんは帽子を飛ばされ力が出ない模様。

 

f:id:yoshixim:20160602152738j:plain

BIGなカップヌードルで下山に向けてエネルギーをチャージ!

向こうに見えるのはさっきいた東天狗。

 

f:id:yoshixim:20160602152739j:plain f:id:yoshixim:20160602152741j:plain

【12:02】
下山開始。なんだかんだ1時間ほど山頂にいたことになるが、カップルードルを食べた以外に何をしていたのか思い出せない。まあちょとうろうろしていれば一時間なんてあっと言う間か。。降りていく方向には諏訪市の街並みと、その向こうに巨大な壁のごとくそびえる南アルプスが見渡せる。

 

f:id:yoshixim:20160602152742j:plain f:id:yoshixim:20160602152743j:plain

西尾根の稜線を進む。南方面への展望が開けている。東天狗から南へ行けば硫黄岳、横岳、赤岳、権現岳と縦走できる。いつかそんなルートも歩いてみたいものだ。

今は西へ向かっていて、本来第一第二と通過する展望台を第二から逆に通過する。ちなみに第二展望台の写真は撮っていないようなので悪しからず。

 

f:id:yoshixim:20160602152744j:plain f:id:yoshixim:20160602152745j:plain

尾根を逸れ唐沢鉱泉へ。登りの時と似た、石と苔の比較的急な坂を一気に下っていく。

 

f:id:yoshixim:20160602152746j:plain f:id:yoshixim:20160602152747j:plain

森を抜け、最初に前を通った橋と唐沢鉱泉の建物が見えてくる。橋を渡って車に戻ったのが【13:45】。

 

で、今ふとこれを書いていて思い出したのだが。。

何で思い出したのかというと、「こんな早く下山したのに何でおれは温泉に入らなかったのだろう」ということを改めて疑問に思ったからのだが。。

そういえば、何かあったな。。

確か何らかの理由があっておれはかなり急いで下山したんだったなと、そんなことを今これを書きながら思い出したのだった。

西天狗山頂から唐沢鉱泉までのコースタイムは2時間ジャスト。おれの脚はだいたいコースタイムフラットくらいな感じなのだが、今回の行動時間を見ると1時間45分でその部分を歩ききっている。

なぜおれはそんなに急いで下山し、温泉にも入らずに帰ったのか…

無論冒頭に書いたように「自分一人だけ楽しむまい」という殊勝なる心構えもあるのだが、その辺は例外がつきもののはずで、このシチュエーションならおれが唐沢鉱泉のお湯に浸からない理由はないはずなのだ。。

 

で、その理由を思い出したわけだが。。

それは以下LINEのやりとりの通り。

 

f:id:yoshixim:20160602165501p:plain f:id:yoshixim:20160602165502p:plain

ちょうどおれが西天狗の山頂から下山開始というタイミングでムスメが骨折した旨の連絡が入ったのだった。。

家族を置いて平日の休みに山に行ってるお父さんとしては、最悪のタイミングでの出来事だ。

しかも今までで一番遠い場所に山登りに来てその山頂(その中でも一番遠い場所)にいる時に、最もシャレにならんようなことが起こったわけだ。

そんな次第で、ムスメは心配だわ行間から滲み出るヨメの嫌味(「こんな時にナニ遊び歩いてんのよ?」的な)に身も細る感じだわという状況で、おれなりに猛ダッシュで下山したのだった。。

 

しかしまあこのやり取り。

おれが12:31に「なるべく急いで帰ります」と送って更に2時間後、下山して帰り始めたことを報告するまでの間は返信もせずに放置し、その2時間の間おれがテンパりつつ諸々後悔の念に駆られひとしきりアワアワしたことを確認しておいてから「若木骨折で学童は行ける」「自分が対応する」といったことを伝えてくるあたり。

そして「気をつけて」とか、極めつけはなんか労りを表現する感じの犬と豚の絵のスタンプとか。

 

見事なアメとムチ。おれは調教されているのか?

女というのは恐ろしいものである。。

調子に乗って写真など送っている自分の能天気さが情けない。。

 

ちなみに若木骨折というのは…

若木骨折とは、子供の骨折のことで完全に折れてない状態のことをさします。(中略)骨が柔らかいことでおこる骨折ですが、骨が大人の骨のように硬くないために、完全に折れていない状態の骨折になることがあります。骨が若い木の枝を曲げたときのように、ポキッと折れはしないけれど、しなる感じです。若い木を曲げたときにしなっていても、へこんでいる方は連続性を保っていて、出っ張っているほうは裂けることがあります。子供の手首でよく起こるそうです。それが子供の骨で同じように起きているのが若木骨折です。(上記サイトより引用)

 

かなり焦ったものの結局大事には至らず、下山開始からの2時間余りテンパっただけで、その後の安心感とともにおれはこの出来事を今日の今日まで忘れていた。ただしその事件のおかげで下山中の記憶が極端に薄いのだということは間違いなさそうだ。

f:id:yoshixim:20160602230540j:plain

結局急いで帰る必要もなくなったおれは、途中のパーキングに車を停めて昼寝なんぞかましつつ、家族の待つ家へとだらだらと車を走らせたのだった。以上。

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ 

 

 

 ◼︎見ていて飽きの来ない地図

 

◼︎比較的高い山の記録

 

yoshixim55.hatenablog.com