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おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の二十九 武川岳〜伊豆ヶ岳 2015/9/16

山行記録 秩父・奥武蔵

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夏にかけてのここ暫く、名のある感じの山への山行が続いた。

だが名のある山への興味と並行して地元の山への愛着も増しつつあるのだった。

奥多摩や丹沢、高尾あたりと比べるとなんとなく一段下に見られる感じが拭い去れない秩父・奥武蔵。そう見るのも埼玉県人の僻み… 東京、神奈川への引け目があるのだろうか。。

まあ、その辺は致し方ないところではあるが、その分手付かずの荒れた感じが楽しめるのがこの辺の山の面白みといったところである。

 

グルメガイドで見つけるような有名店の洗練された料理ばかり食べていると、ふと下町の定食屋の味が恋しくなる。。

そんな穴場感満載の、地元の人しか知らない感じの味(山)を求め、奥武蔵登山の一大拠点と言うべき「道の駅果樹公園あしがくぼ」へ。

 

ここは西武秩父線芦ヶ久保駅ともつながっている上に、無料の登山者用駐車場もあるのだが、登るべき山はと見渡すと、やはり全国に知られたようなビッグネームは皆無。

辛うじて奥武蔵の盟主、武甲山に手が届きそうだが、ここから行くとなるとなかなかに遠く険しく、やはり隣町といった風情だ。

 

そんな感じで今回は地元の商店街のうまい店を探すべく、ひとまずここから武川岳を目指すのだ。

そしてそこから興が乗れば、一気に隣町の武甲山までハシゴでもしてやろうと、そんな感じの意気込みで8時過ぎに登山を開始したのだった。

 

 

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【8:10】道の駅「あしがくぼ」から出発。道ひとつ挟んだ未舗装の第二駐車場は、平日だとさすがに空いている。

天気はいまひとつ。他にも登山者の姿がちらほらあるが、同じコースを行く感じではなさそうだ。

 

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最初の案内に従い二子山方面へ。ここの二子山は他の二子山と区別するために横瀬二子山と呼ばれるらしい。線路の下を通るトンネルは少し身をかがめる感じで抜けていく。足元がぬかるみ心霊スポットのごとき風情でちとビビる。

トンネルを抜けたあたりで大音響でラジオを響かせながら歩いてくるおじさんとすれちがう。登山者というより地元の人か、山菜採りか。。挨拶しようと思ったが完全にシカトされスルー。

 

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最初のうちは杉林。でかい岩なんかが転がっていたりするが、なんか地味で暗い感じだ。

 

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杉の植林帯を過ぎ、小川を渡る橋がいい感じ。立木も広葉樹となりいい感じなってきたと思ったところで凄まじいい獣臭が鼻を突く。

つい今しがたまで熊さんがいらっしゃったのでしょうか?
さっきすれ違った人がラジオを大音響でかけた意味がよく理解できた。

熊鈴だけでは心許ないが、極力よく鳴るように、鈴をぶら下げた背中のザックを振りつつ先へ。

 

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ちなみに二子山まではひたすら登りでなかなか急。正直かなり記憶が薄れているが、高度グラフで見ると平面距離2.5kmの間に500mくらいは登っているようだから結構な急登である。

 

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熊を恐れつつの急登でも花を愛でる心くらいは忘れずにいたいところ。相変わらず花の名前は知らないが。

 

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ようやく登りが終わり尾根に出たかと思ったら、すぐに二子山の雌岳。標高は882.7m。時刻は9:42。

 

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下って登って10分で雄岳。標高は雌岳と同じく882.7m。仲の良い双子だ。

 

と、ここまでの横瀬二子山、思い出しがてら調べていたら詳しく紹介しているブログがあった。歩く人によって山は姿を変えるのだろうか。こんな素敵な山だったとは今まで気づかなかった。。

見どころ満載の横瀬二子山をぜひ。

 

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しばし尾根歩き。地味にアップダウンを繰り返す。

 

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右側が開けて秩父の街と武甲山を望む。唯一の眺望スポット。

 

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焼山山頂からも武甲山。行くも帰るもアップダウンの多い道だ。

 

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焼山の先で登山道と林道が交差し、そこからしばらく林道を歩く。やがで林道を下に分けて登りに入ると少し進んだあたりで林業が営まれていた。

 

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見下ろす林道を、木材運搬用の特殊車両が通って行った。初めて目にする感じの「働く車」。

 

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その後標高を一気に上げて蔦岩山は1004m。さらにしばらく尾根を進んで。。

 

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【11:46】武川岳山頂に到着。ここまでの距離は6kmちょっと。細かいアップダウンが読み切れていなかったおれはもう少し楽に来れるイメージを持っていたのだが、思いの外ハードなコースだった。11時までにここまで来れたら妻坂峠へ下って大持山、子持山を経て武甲山など目指してやろうと思っていたのだが、さすがに厳しい感じである。

天気もイマイチでここの山頂では霧雨程度だがパラついてきた。

よって今回はここで昼飯をとったら逆方向の山伏峠へ下って正丸駅に戻ることにした。

山伏峠の先には伊豆ヶ岳があるが、一旦標高500mくらいまで下ってから登り返す気力があるか? その答えについては一旦保留にし、ひとまず空腹を充しに掛かるのだった。

 

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 赤いきつね緑のたぬきとこれば黄色はカレーうどんだったような記憶があるのだが、なぜか今日売っていたマルちゃんの黄色は博多ラーメン。

まあどっちでもいいやといつものように湯を沸かしてさあ食おうと思ったところで、重低音の羽音を響かせて突如スズメバチが。片手にカップラーメンを持って反射的にベンチから立ち上がった拍子に思いっきりスープをザックの上にブチまけてしまった。

さらにスズメバチの野郎が近くでうろつきまわり、離れていく様子もない。。

イカリ消毒 スーパースズメバチジェットミニ 180mlそこで取り出したのがこの時期必携の「スズメバチジェット(ミニ)」。小さい割にジェットの威力も強力で、ホバリングしながらこちらを威嚇するオオスズメバチを一撃で撃退してくれた。

 

霧雨に濡れながらカップラーメンを食べ終えザックのスープといつの間にかまとわりついた雨滴を拭って、山頂を後にする。

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山頂で微妙に雨にやられたり、カップ麺の汁でテンションが下がったり。そして自分の読みの甘さにがっかりな上に体力もついてこずで当初の目標も達せられず。標識に従って山伏峠方面に向かう下り道、なんとなく敗北感に苛まれ始めた。

体力的にもそれなりに疲労感があり、雨の中休んだせいで冷えた体も少しこわばっていて、気持ちはこのまま最短のいちばん楽なルートをとって下山する方向に傾いていた。

武川岳までだってそこそこハードなルートだし、そこからさらに行こうなどと考えること自体がそもそも間違いだったのだ。今日の目的地は武川岳ということにしとけばそれで目的は達せられたのだから。。

 

だがおれの中のもう一人のおれが、待てよと言うのである。

このまま終わるのか。。

なんとなくつきまとう敗北感が気分をダウンさせる。このまま撤収となってしまったら、その気分にケリをつけることもできぬまま、今日の登山は敗北の記憶となってしまいそうな、そんな気がした。

状況を冷静に見極めて引き帰すのも勇気というが、それを乗り越え少しでも先に進む勇気というのもあるだろう。

 

誰とも行き合わぬ薄い霧に包まれた山道で、何に責任があるわけでもないというのにおれは無駄に己との戦いを続け、結果最後にもう一丁、眼前にそびえるいつもの伊豆ヶ岳を、未踏のルートから登ってやることで手打ちとすることに決めたのだった。

下山の途中で霧雨は止み、太陽は雲の向こうに隠れたままだが大きく崩れることもなさそうだった。

 

武川岳から伊豆ヶ岳までは500m下って300m登り返す感じでコースタイムは2時間。急な下りを一気に降りて、舗装された林道を少し歩くと伊豆ヶ岳の登山口。

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いつもとは逆側、山伏峠から登る伊豆ヶ岳。長く急な階段は土が流れてしまっていて、残った木の部分を踏んで登った。台風の通過した後ということもあり、なんとなく荒れていて痩せ尾根は倒木でふさがれていた。

 

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山頂手前、逆側から何度か見た巨岩を回り込み【14:22】山頂着。見慣れた山頂からの眺望はゼロ。

疲れた足にはなかなかきつい登りだったのでそれなりに達成感はあるが、それは「やりたいからやった」のではなくて「やらなければならないからやった」という感じのもので、わざわざ休日の時間をやりくりして、誰に責任があるわけでもないのに自分に義務を課して、追い立てられるように急坂を登り、やっと解放されたような気分になるというのはなんとも因果な感じだ。

おれは一体何をやっているのか。。

 

だが、そこに何ら愉しみが無いのかというと、決してそうでもないのである。

誰に責任があるわけでもなく、自分で決めたハードルをただ、自の意思で超える。

そういう行為というのは「誰かのため」というしがらみの中で何かをやり遂げるというのとは全く違うのだ。

「やらなければならない」という思いは、実は「やりたい」という思いと同義なのである。。

 

まあ、どうでもいいことですね。

 

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伊豆ヶ岳名物の鎖場「男坂」を今日は降りる。登りと降りでは全く違った動きが要求されるのが鎖場というもの。降りの時はやはり鎖に頼る場面が多くなる。

岩の表面が濡れているので少々滑るが楽しく降りることができた。

 

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尾根を少し進んで小高山の手前、長岩峠のあたりから下降する。ここも初めて通る道だ。なかなかよく整備されていた。

 

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沢まで降りたらそこからは流れに沿って馬頭観音まで歩く。そこから先は集落を抜ける舗装道路を通って正丸駅まで下る。正丸駅から電車に乗って一駅隣、スタート地点の芦ヶ久保まで戻る。やることやったら後は淡々と今日の行程を終わらせるだけだ。

山行の終わりというのはいつも呆気ないもので、行き先やコースを考えている時の期待感や歩いている時の高揚感が全て尽きたところで「終わったな」といった薄い感慨だけが残る。さて帰ったら何をしようかなと。

 

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疲れた足で最後の階段を登り、駅のホームに出ると同時に秩父方面行きの列車が入ってきた。一時間に一、二本程度なのでなかなかラッキーなタイミングである。

「終わりよければ全て善し」ということで今回の山行はおしまい。帰途につくのだった。

 

ちなみにこの日の山行で出会ったのは、大音量ラジオのおじさんとクマ臭、スズメバチのみでした〜♪

 

 ◼︎今回のコース

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道の駅あしがくぼから入山し、二子山、焼山、蔦岩山と越えて武川岳へ。急登やアップダウンが多いコースでここまでのコースタイム3時間55分だが、3時間を切れるようならそこから武甲山を目指すつもりでいた。結局3時間40分ほどかかり、武甲山は断念。そのまま下って伊豆ヶ岳へ登り返し、正丸駅から電車に乗って芦ヶ久保駅へ戻った。歩行距離は15km程で、最大標高差は750m。

 

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◼︎奥武蔵の山シリーズ 

yoshixim55.hatenablog.com

 

◼︎今回歩いたあたりの地図など

山と高原地図 奥武蔵・秩父 2016 (登山地図 | マップル)

山と高原地図 奥武蔵・秩父 2016 (登山地図 | マップル)

 

 

埼玉県の山 (分県登山ガイド)

埼玉県の山 (分県登山ガイド)

 

 

◼︎この時期の低山歩きの必須アイテム

イカリ消毒 スーパースズメバチジェット 480ml

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