読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の二十八 西沢渓谷 2015/8/24

山行記録 親子登山 秩父・奥武蔵

f:id:yoshixim:20160830225754j:plain

夏休みとなれば遊びもやはり子供中心にならざるを得ないのがお父さんの宿命。海に花火にと一応それなりにお勤めを果たし、夏の締めくくりはキャンプというわけだ。

このところ自然派を気取るお父さんだが実際のキャリアは浅い。バイクツーリングでのテント泊やキャンプ場のバンガロー泊やデイキャンプの経験はあるものの、家族用のテントをまともに張ってのキャンプというのは実は今回がデビュー戦なのだった。

 

 ちょうど1年前、痛恨の山デビュー後の夏、このお父さんはキャンプデビューでも手痛い失態をさらしていた。

キャンプ道具一式を買い揃え、満を持して訪れたキャンプ場に着いた時には豪雨。

雨具など持ってこなかったので、テントを張ることすらできずに撤収。帰り道の途中で雨が上がるのを忸怩たる思いで見届け、買い揃えたBBQの食材は逃げ帰ったヨメの実家でホットプレートで頂くという体たらく。

 

その際テントも張らずに帰るという身勝手な客に、「また来てくれればいいですよ」と払った料金全額を返金してくれた良心的なキャンプ場に「また来る」と言ってしまった手前のお礼参りということで、友人家族を誘って出かけることにしたのだった。。

f:id:yoshixim:20160817180047j:plain f:id:yoshixim:20160817180048j:plain

そんな次第でやってきたのは天子の森キャンプ場。富士山麓の西側、朝霧高原の外れに位置する天子山塊、天子ヶ岳、長者ヶ岳の麓にあるオートキャンプ場だ。

これといって特筆する設備やサービスがあるわけでもないが、管理人のおやじさんに漂う微妙な世捨て人感がおれには非常に馴染む(馴染まない人もいるようだ)。どちらかというとズボラな感じだがよい人柄で、細かいことに囚われずに、適当にいいようにやってくれる感じである。

天子の森キャンプ場 ホームページ

 

f:id:yoshixim:20160817180046j:plain

一泊目は友人家族とBBQ。

小学校からの腐れ縁の友人。かつてツーリングなんかにも同行した長い付き合いの男だ。まともに家庭を持つことなど想像もつかなかったようなダメ人間どもも気がつけばお互いいいオヤジである。そいつの子供らとおれの子供らがそれぞれ意思を持ち、わけもわからず親に連れてこられた山のなかで楽しいことを探し、当然のように遊んでいる。。

ふとした瞬間に妙に現実離れした出来事のように感じたりもするのだが、そんな子供らがはしゃぐ声を聞きながらほろ酔い気分でうまい空気を吸って惚けている時間というのは、なかなか他に代え難い人の世の理を実感するひと時である。

 

翌日は早朝からキャンプ場の側を流れる川で水遊び。その後一泊の予定で来ていた友人一家を見送って、連泊するうちの家族は午後から近くの白糸の滝を観光。その後温泉に浸り、夜は管理人のおやじさんに案内してもらってホタルや星を見物したりしながらのんびり過ごす。最後の朝には子供達は犬の散歩なんかもさせてもらって、怖くて近寄れなかった犬に触れるようになったりと、なかなか充実した感じでキャンプは終了したのだった。。

f:id:yoshixim:20160817180049j:plain f:id:yoshixim:20160817180050j:plain

 

だが、これで終わらせるわけにはいかない。

ここまで自然の中に居ながら、山歩きもせずにこのまま帰ってしまっていいはずがないのである。

ここのキャンプ場からちょっと行けば天子ヶ岳、長者ヶ岳と歩くハイキングコースがあるし、富士の外輪山を形成する山々が道すがらいくらでもあるのだ。おれがその辺を絡めることを提案しないわけがないのだが、それはヨメに一発で却下され、さらに「今回は連泊してのんびり過ごすキャンプにしたいから山登りは無し」と逆手を取られて釘をさされてしまったのだった。

 

しかし、それで引き下がるわけにもいかないのである。

「山登り」がだめならそこは一つと一休さんばりにとんちを効かせるお父さん。

「うん、山に登るのはやめよう。あれこれ詰め込み過ぎても疲れるしな。。でも、せっかく自然の多いところに行くんだし渓谷を軽く散策してみるくらいならいいんじゃないか? 帰り道の途中に、サクッと歩ける感じの絶景満載の渓谷があるんだけど…」

そして澄んだ水を湛えた美しい渓谷の写真を2、3枚見せる。

「へぇ、綺麗ね。いいじゃない」

ときたらこっちのもんだ。

 

そんな次第でキャンプのあとは甲武信ヶ岳の麓の渓谷歩き。西沢渓谷へ向かうのだった。

f:id:yoshixim:20160822232344p:plain
乾徳山にもあった山梨市観光課設置の鳥瞰図。味のあるタッチが素敵だ。渓谷沿いの登山道を七ツ釜五段ノ滝まで進んだら元々トロッコの軌道があった道を辿って帰ってくる。標高差は300mちょっとで歩行距離は12km程度。

 

10過ぎにはキャンプの撤収を完了し富士山麓の西側、朝霧高原を抜けて北上。本栖湖精進湖と越えて甲府盆地を抜け、中央道は渋滞するかもだからとまことしやかに理由をつけて秩父へ抜ける「雁坂みち」へ。右手に大菩薩嶺、左に乾徳山と見送りつつしばし進んで道の駅「みとみ」を過ぎたところを右に分ければ甲武信ヶ岳の登山口にもつながる西沢渓谷の入り口だ。

「ほら、帰り道の途中だよ」と半ば強引に回り道して到着したのが13時頃だった。

 

f:id:yoshixim:20160817180051j:plain f:id:yoshixim:20160817180052j:plain

雁坂道をそれて林道に入ると直ぐ左手に無料駐車場があるのでそこに車を停めて出発。車止めのゲートを越えてさらにしばらく舗装された道を行く。

 

f:id:yoshixim:20160817180053j:plain f:id:yoshixim:20160817180054j:plain

程よい木陰の中を15分、ウォーミングアップにちょうどいい。

 

f:id:yoshixim:20160817180056j:plain f:id:yoshixim:20160817180058j:plain

往路と復路が出会う場所に立派なトイレと東屋が出現。諸々の準備を済ませる。

 

f:id:yoshixim:20160817180059j:plain f:id:yoshixim:20160817180100j:plain

徐々に水が近い感じになってくる。ぬかるみで愚図るチビを抱きかかえるのは気の短いお母さん。

 

f:id:yoshixim:20160817180101j:plain f:id:yoshixim:20160817180102j:plain

甲武信ヶ岳への登山口(徳ちゃん新道)は西沢山荘(休業中)のすぐ傍にある。以前から登ってみたいと思っているのだが、こっちからの道は「きつそう」という印象しかない。

行くなら毛木平側からか、沢を遡行してから鶏冠山を越えて行くか。。

まだしばらく先になりそうだ。

 

f:id:yoshixim:20160817180104j:plain f:id:yoshixim:20160817180105j:plain

徐々に登山道らしい感じになってきた。

 

f:id:yoshixim:20160817180106j:plain f:id:yoshixim:20160817180107j:plain

二俣吊橋。途中、堰の向こうに甲武信ヶ岳が顔を出す。手前は木賊山か鶏冠山か。

 

f:id:yoshixim:20160817180108j:plain f:id:yoshixim:20160817180109j:plain

鶏冠山谷への登山道はなんとなく荒れた感じ。その先についに西沢渓谷の看板が出現した。ここまでの所要時間約40分。

 

f:id:yoshixim:20160817180110j:plain f:id:yoshixim:20160817180111j:plain

しばし山道を進み階段を超えると。。

 

f:id:yoshixim:20160817180112j:plain f:id:yoshixim:20160817180113j:plain

本格的な渓谷が出現。いきなり見えるのが大久保の滝と三重の滝。

 

f:id:yoshixim:20160817180114j:plain f:id:yoshixim:20160817180115j:plain

巨大な岩盤の上を水が流れていく。青く澄んだ水がきれいだ。

 

f:id:yoshixim:20160817180116j:plain f:id:yoshixim:20160817180117j:plain

沢がどんどん近くなる。水際まで降りて、しばらく水と戯れつつ進む。

 

f:id:yoshixim:20160817180118j:plain f:id:yoshixim:20160817180119j:plain

青い水、滝、人面洞。スマホで適当に撮った写真しかないのが悔やまれる。

 

f:id:yoshixim:20160817180120j:plain f:id:yoshixim:20160817180121j:plain

渓流沿いを進む。橋の上にはオオムラサキが群れ飛んでいた。

 

f:id:yoshixim:20160817180122j:plain

そしてこの渓谷のクライマックスは七ツ釜五段の滝。見事な滝を視界に収めたところで渓谷を逸れ、今は廃止となったかつてトロッコ軌道だった道へと向かう。

 

f:id:yoshixim:20160817180126j:plain f:id:yoshixim:20160817180128j:plain

トロッコ走らせるための道だけあってアップダウンは少ない。一定の斜度で緩やかに下っていく感じ。距離はあるがのんびり気楽に歩ける道だ。途中甲武信ヶ岳方面を見渡せる大展望台などそれなりに見所もある。

 

f:id:yoshixim:20160817180123j:plain f:id:yoshixim:20160817180125j:plain

「ひこいっちゃんころばし 」
昭和8年から43年まで、三塩軌道(現、西沢渓谷遊歩道迂回路)を馬とトロッコを使い木材を搬出していた。その際運材夫をしていた彦一さんが操作ミスで馬とっしょに転落して負傷したことから、そう呼ばれているらしい。

彦一さん、こんな場所の名前にされて笑い事で済むような話ならいいのだが。。

ほかにも猪虎狸さんという人が落ちた「いこりこぼばし」という場所もあった。

  

f:id:yoshixim:20160817180129j:plain f:id:yoshixim:20160817180130j:plain

帰り道は中悪沢まで子供の足で2時間弱。 全行程で4時間半程度のトレッキングとなった。

軽くサクッと歩くなどと言った割には戻った時には17時を回り、心配性のヨメさんは「子供の危なっかしい足取りばかりに気を取られ景色を楽しむ余裕がなかった」と愚痴をこぼしている。

「子供なんて経験させなきゃ成長しないぜ」と腹のなかでおれは嘯きながら、「思ったよりも本格的なトレッキングコースだったな」などと適当にごまかしつつヨメをねぎらい「いい運動して腹も空いたことだし、美味いもんでも食べようぜ」と次の目的へと気持ちを切り替えて向かうのだった。

雁坂みちで秩父に抜け、家に帰り着いたのは21時を過ぎたころとなった。

 

そんな感じで2015年の夏を締めくくってくれた西沢渓谷。写真の腕も機材もないのでその景観をまともに伝えられないのが非常に残念だが、その辺気になる人はぜひ実際に足を運び、渓谷の空気を感じながら自分の目で確かめていただきたい次第である。

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ