おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

其の九 谷川岳 2014/9/22

最高の夏山シーズンであるにも関わらず諸般の事情により山に行けなかった8月。

その間毎日のように山の情報を漁る中で最も気になっていた山、それが谷川岳だった。

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谷川岳と言えば日本のロッククライミングの聖地、国内最高レベルの大岩壁である一ノ倉沢をその北面に湛える魔の山であり、映画「クライマーズハイ」なんかでも象徴的な場所として描かれていた名峰である。中央分水嶺にあたり、気候の境目になるため天候の変化も激しく、標高は2000mに僅かに満たないが、その気象条件のため森林限界も低く、山頂付近は遥か高山のごとき様相であるという。

 

山の格としては今まで登ってきたものよりも数段上の百名山。メジャー級の山である。

そして…

そんな山にもかかわらず、ロープウェイとリフトという文明の利器により、かなり高いところまで難なく上がって、さしたる苦労もなく山頂まで往復できるというのだ。

 

おれの登山もそろそろ次のステージへと進化していい頃だろう。

「ど素人」から「素人」へと脱皮を図るこのタイミングで、谷川岳の一番楽そうなコースを歩いてみるのもいいのではなかろうか…

 

そんな次第で谷川岳への山行を決めたわけだが、さすがに埼玉から日帰りというのはきつい。そこで前の晩に出発して車中泊することにした。日々の稼業の相棒であるSUBARUサンバー(軽の1BOXバン)なら、荷台に立派な寝床を確保できるから、近くまで行ったところで適当に車を止めて寝てしまえばいい。

最大の難関はヨメの許しを得ることと思われたが、普段からの根回しが功を奏したのか、意外なほどすんなりとOKが出た。

この動きが可能となれば登山の幅は格段に広がる。まさに背中に翼を得た感じだ。

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相棒のサンバーとその中の寝床

 

前夜、子供を寝かしつけ諸々の家事を終えて出発したのが22時。夜の道はよく流れるので高速代を極力ケチって東松山から関越道に入る。一気に目的地までとも思ったが、群馬に入ってしばらく走ったあたりで眠くなってきたので、12時過を少し回ったあたりで赤城PAに車を止めて寝ることにした。

トイレと自販機ぐらいしかない閑散としたパーキングで他の車も少なく、寝床も快適。寝袋に潜り込むと、程なく快適な眠りに落ちていった。

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5時半過ぎに起床。顔を洗いに車を出ると夜にはただの暗闇だった場所にドーンと山が聳えていた。この辺の山の配置など何もわかっていないおれは、「あれが谷川連峰なのか?」などと朝靄の中で感慨にふけったのだが、後で調べるとこれは子持山後日登頂)という山だった。

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途中赤城高原SAで朝食を摂り、水上温泉郷を抜けて谷川岳のベースプラザに着いたのが7時30分頃。準備をして8時始発のロープウェイに余裕を持って乗り込むことができた。

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麓の土合駅から天神平駅まで2.3㎞、標高差600mを一気に登る。

 

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そこからさらにリフトに乗って、気付けば標高1500mの天神峠。今まで登ったどの山よりも高い場所から本格登山のスタートだ。 

 

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最初はしばらく下りがちの道。前方にこれから目指す谷川岳が見えるが、山頂のあたりは雲の中だ。対してこの辺の天気は良好で、背の高い木がないので眺望はとてもいい。道は初めのうちは赤土と岩が混じった感じで、徐々に岩がちになってくる。

 

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途中鎖場や急なガレ場などあるが、基本的に絶景を眺めながら快適な登山道をただただ気分良く歩いて行く感じだった。天狗の腰掛岩や天狗の留まり場といった眺めのいい巨岩の上で休憩など取りながら進んで行くと、山頂に向けて次第に傾斜がきつくなってくる。

 

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 稜線上を雲から出たり入ったりしながらしばし歩く。天神峠から2時間足らずで肩の小屋に到着した。

 

山頂直前の肩の小屋あたりはすでに雲の中で、急に空気が冷えてくる。このあたりは山頂方面、西黒尾根方面、万太郎山方面へと向かう稜線の交差点のような場所であり、空気の流れが異常に速かった。

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肩の小屋の裏あたりから望む谷川岳主稜線方面。すごい勢いで雲が流れていく。ちょっと下がれば穏やかな天気なのだが。

 

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肩の小屋を過ぎればあとは目の前の急登を登るのみだ。雲の中を一気に登って最初の山頂トマの耳に到着。

 

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先に見えるオキの耳と振り返って見たトマの耳。それぞれに趣のある双耳峰だ。間をつなぐ稜線の道もまばらに紅葉した斜面の感じも大変良いロケーションだが、雲の中で展望がないのだけが残念だった。

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11時を少し過ぎたあたりでオキの耳に到着。山頂は混み合っていたのでさらに少し進み一ノ倉沢を見下ろすあたりに腰を下ろした。

カップラーメンとコーヒーで休憩をとり、その後しばらく眼下の断崖を眺めた。足元から垂直に数百メートル切れ落ちているような場所に立つと股間のあたりがザワつく感じがする。

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恐ろしいのでなるべく崖っぷちには近寄らないように、及び腰で手だけ伸ばして写真や動画を撮影した。


これが一ノ倉沢の断崖絶壁。及び腰で撮ったのでいまいち迫力が捉えきれていないのが残念…

 

休憩の後は、少し先にある祠(富士浅間神社奥の院)で山の神に挨拶し、来た道を戻った。同じ道なので詳細は端折る。というか下山ルートは印象が薄くなるためか、いつもあまり覚えていないし写真もないのだ。熊穴沢避難小屋の先で道を分け、リフトのある天神峠ではなくロープウェイの駅のある天神平へ降りていき、14時過ぎに到着した。

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@天神平から西黒尾根越しに朝日岳

 

そんな感じの谷川岳。人気の山の最もメジャーなルートだけあって、岩場なども含めて歩きやすく、歩き終えたところでの疲労やダメージはそれほどでもなかったが、見晴らしのいい稜線や高山の気候など、今までの低山トレッキングとは違った、アルパイン的な登山の雰囲気に触れることができた。

 

それにしても谷川岳に登るなど、半年前には考えもしなかったことだ。

だがそんな、登山を始めるまでは自分には関係のない遠い場所にあった山の頂にも、行こうと決めて歩き出せばやがて辿り着くことができる。そして自分の足で歩かなければ出会うことのない景色に出会うことがでできるのだ。

 

まあ、山が登山者を選ぶわけではないし、登りたければ勝手に行って登ればいいだけの話なのだが、そんな当たり前のことを実感し、さらに登山への興味が深まった山行だった。

 

日帰り名山 」から一歩進んで今回はこの本を参考にした。おれの成長に合わせたように発売されるPEAKS特別編集のこのシリーズと共におれの登山も進化してゆくのである。メディアに乗せられているだけなどと言ってはいけない。。

 

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