読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

夏の珍事。「グレート・トラバース」との遭遇。

おれのこと

山登りをするようになってからBS放送の山の番組なんかをよく見るようになったのだが、その中に日本の百名山を人力のみで踏破するという「グレート・トラバース」というのがあった。最南端の屋久島・宮之浦岳から最北端の利尻岳まで、海はカヤックで、陸路は徒歩で進みつつ、すべての百名山を一筆書きに踏破するというチャレンジを追いかけるドキュメントで、200日程度の行程を5回ぐらいに分けて各2時間枠くらいで特番として時々放送されていた。 

 

当時まだ近場の低山を2、3登った程度の経験しかないおれにとっては想像も及ばぬような途方もないチャレンジだが、日本を代表する各地の山々の様子や、困難を乗り越えながら進んで行く旅の様子など、大変興味深いものがあった。

この時点(2014年の夏頃)では九州、四国、中国と越えて日本アルプスを縦断したあたりまでが放映されており、おれは次の回を心待ちにしていたものである。

 

そんなある日。隣町にある実家に子供を連れて遊びに行った時のこと。茶を飲みながら近況の話などするなかで、最近よく山に行くのだ、などと話していると、母親の口からおもむろに、どこかで聞いたような人の名前が出てきた。

「そういえば、たなかようきさんって知ってる?」

「田中…、誰?」

「何でも山登りなんかをする、テレビに出たりする人らしいんだけど…」

「それって、百名山を歩いてる人?」

「そうそう、その人」

「? その人が、どうしたの?」

 

要するに母親の言っているのは「グレート・トラバース」で百名山の人力踏破にチャレンジしている田中陽希氏のことであり、その田中氏に数日前に会ったということらしかった。

ついに耄碌したのか…?

というのも彼はまさにこの時「グレート・トラバース」の途上にあり、今頃は北関東から東北に向あうあたりを旅しているはずなのである。

 

放送を見ていると時々そのチャレンジを知った人が、旅の途中の路上で待っていたり山頂まで会いにくるような場面もあったが、そもそも登山など無縁なうちの母親がそんなことをするはずもない。テレビと現実を混同しているのだろうかと心配になりそうな話だ。

が、よくよく問いただしてみると、どうやらそういうわけでもないらしい。

要するに旅の途中の田中氏にたまたま遭遇したということらしかった。

 

実はおれの母親、ずいぶん前から環境系のボランティア団体を主催しており、近くの川でその活動をしているところに、丹沢山から関東平野を抜けて筑波山へと向かう田中氏が通りがかったということのようだ。

高齢者の集まりであるボランティア活動のなかで、ちょっとした問題が生じて困っているところに、たまたま通りがかった若い男性が見えたので、ちょっと手をかしてもらえまいかと声をかけたらそれが田中陽希氏だったそうな。

 

本当かよ、と思ってネットで調べたら、ご本人が書いている旅日記にその時(7月23日)のことが書いてある。。

 

<以下引用>

 しばらく川の土手を歩いていると、川沿いの小さな林が目に止まった。

そこでなにやら作業をしている地元の方が数人、林の手入れをされているようだった。
いつものように「こんにちは。」と挨拶すると「こんにちは。」と挨拶が帰ってきた後に、

「あっ、若い人!ちょっと助けてくれませんか?」とお願いされた。

「私たちじゃ力がなくてエンジンがかからないんです。」と、見るとそこには真新しい普通サイズのチェーンソーがあった。

(中略)

 話を伺うと、林の手入れをするためにチェーンソーを買ってきたのだが使い方がよくわからないようだった。
エンジンをかける前に基本的な説明が必要な感じだったので、仕組みや、エンジンのかけ方など注意点を伝えた。
エンジンはすぐにかかった。
拍手喝采だった。

(中略)

 枯れ木を切りながら、切り方の解説をして、1、2分で終わった。
そして更に次のお願いが。
枯れた立ち木をあと2本倒して片付けたいという。

 ちょっと自慢気に自分の経験を話ながら、立ち木を2本切り倒すことにした。
まず1本、木を倒す方向を決めて、根本の草を払い、受け口を作り、倒す前に周辺に注意を促して、追い口を入れて慎重に倒した。
再び拍手喝采。

 次の木を斬り倒す前に、おばちゃんたちがやっている活動を伺うと、日本一汚い川といわれた綾瀬川を子供たちが遊べるように、綺麗な川に戻そうという思いから、十数年前から木を植えたり、河川の清掃したり、子供たちと野外学習をしてきたそうだ。
その話を聞いてより、力になれたことが嬉しかった。

<引用終わり> 

この時の様子は後から追いついたカメラクルーによって撮影されていたとのことだったので、数日後。放送されたのを見たら、お袋さん、ばっちり登場してました。。 

f:id:yoshixim:20160216115804j:plain f:id:yoshixim:20160216115805j:plain

ちなみにこのお袋、ボランティア団体の活動で取り上げられて某国営放送さんやら県営放送?さんに何度か登場したことがあるのだが、これはヤラセでも仕込みでもない。

おれが山登りを始めたところでそんな珍事が起こるというのも、何かしら山の神様とご縁があるのか、それともお袋さんが何か変な電波的能力を持ってるのか、よくわからない話だが、田中陽希と火野正平という二人のスキンヘッドのBS放送の旅番組は、普段あまりテレビを見ないおれの数少ないお気に入りの番組なのである。

火野正平さんを見てるとスキンヘッドも悪くないなと思えてくる

 

田中陽希さんはこのあと百名山一筆書き人力踏破を完遂し、さらに翌年(2015年)には二百名山百名山を除く百座)を今度は北から南へと踏破して、つい先日その最終回が放映されていた。これからのさらなる活躍をお祈りする。

ぜひ近いうちに三百名山も行ってみてもらいたいところである。

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ