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おれの山、おれの道

生半可なおっさんが主観的に山登りと人生を語るブログ

富山旅行と立山黒部アルペンルート 2015/10/24~26

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おれの両親は富山県の出身で、親戚などもあるので子供の頃の夏休みは毎年富山で過ごしたものである。父親の実家は立山の麓の立山町にあり、母親はその隣、剱岳の登山口のある上市町で生まれ育った。 

山を好む者にとってはこの上ない出身地なわけだが、人生の大半をそのことにはまるで関心を持たずにおれは過ごしてきた。そこは単純に親戚が沢山いる田舎であって、それ以上の意味を持つものではなかったのである。

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上市川の堤防から望む剱岳

 

まあ縁のある土地なので子供ができてからも何度か訪れているし、「田舎暮らしもいいな」などと考えるにあたってはなんとなくその対象として想いを馳せたりすることはあった。しかしながら親戚付き合いなども次第に希薄になるにつれ、徐々におれの中で疎遠な存在になりつつあった富山県。。

それが山に登るようになったら俄然存在感を増してきたりするのだから因果なものである。

 

そんな富山の話題がテレビなんかでちょくちょく取り上げられていた2015年の秋。

 北陸新幹線が開通して俄然注目が集まり、訪れる観光客も右肩上がりとちょっとした旬な感じになっていた。

 

都道府県別の幸福度ランキングではトップクラス。北アルプス立山連邦剱岳と山もさることながら富山湾には海の幸も豊富で食い物も美味いときた日にゃ、都会の暮らしにも飽き、人並みに田舎暮らしなんぞに想いを馳せるおっさんにはなかなかの理想郷に見えたりするのである。

 

さらにこの頃読んだこんな本なんかで元気の良い地方都市などと紹介されているのを知るにいたっておれの中での富山熱は最高潮に達していた。

 

そんなタイミングで、子供の頃からいちばん世話になり、大人になってからも唯一まともな付き合いのある叔母ちゃんから「子供ら連れてこられよ」と電話がかかってきたのである。まさに渡りに船のタイミングとばかり、強引に三連休を ねじ込むと、家族を引き連れておれは新幹線に飛び乗ったのだった。

 

◼︎新幹線で富山へ

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大宮から北陸新幹線。普段電車にあまり乗らないし、新幹線なんて10年ぶりどころじゃない感じで、それ自体がすでにワクワクものの体験なわけだが。

しかしJRの新幹線。テクノロジーとしては最先端なのかもしれないが、サービス業としては10年くらい遅れているんじゃないかと窓口対応や予約方法や料金システムなど一々感じさせられるとこがあってちょっと驚いた。鉄道最大手の会社がこんな感じなのかと。

 

しかしまあせっかくの旅行でつまらんことに目を向けても仕方がない。同じ旅をするなら楽しい方向を向いていかねば。気を取り直して出発だ。

 

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2時間足らずで富山駅

ひとまず荷物をコインロッカーに預けて観光しようと思ったら、警察犬があちこちでクンクンと嗅ぎまわっている。何かと思ったらこの後天皇陛下が訪問されるとのこと。

やはり今、この土地に何かが流れれてきているようだ。。

 

◼︎ライトレールで海辺の町へ

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で、叔母ちゃんの家に行く前に富山駅から路面電車(ライトレール)に乗って向かったのは山とは逆方向、岩瀬という古い町並みを活かした海辺の集落だ。先に紹介した本で取り上げられていたちょっと面白そうな町で、一度完全に寂れてしまったところから、うまい具合に活気を取り戻して人が集まり始めた場所だという。

 

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 で、実際に歩いてみた岩瀬は、寂れた町並みのどこか懐かしい雰囲気をうまく活用した街づくりが好印象。程よく手入れされた感じではあるが作り物ではない、もともとあったものを損なわずに今どきの小洒落た感じのものとうまく結び付けられた心地よい場所だった。

だたし土曜の午後に訪れたわりに表通りにも人はまばらで、観光地としてはさほど成功しているようにも見えなかったが。

たぶん狙いはその辺ではないのだろう。。

 

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昼過ぎからのんびり散策し、二駅分ほど歩いて海辺に出るころには太陽は大きく西に傾いていた。港湾展望台からの眺めはあまりにもなんてことない感じ。そして最後にこの町の象徴的なカフェ「COMMON 天下堂 」に立ち寄った。

なんというか全てにおいて「ここが凄い!」と言えるようなところはないのだけれど、「おれ個人的にはなんか好き」と言いたくなるような、ある種の人にそう思わせるような微妙な何かを成立させている、そんな佇まいの岩瀬の町だった。


@岩瀬メインストリート

 

そんな感じで 岩瀬を後にし、ライトレールで富山駅に戻り上市町の叔母ちゃんの家へ。

夜は新鮮な魚介をたっぷりとご馳走になりました。。

 

◼︎二日目は立山黒部アルペンルート 

そして今回の旅行のメインは立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルート」とは立山連邦を貫いて富山と長野をつなぐ山岳交通ルートで、富山側の立山駅から長野側は扇沢まで、ケーブルカー、バス、トロリーバス(トンネルの中を電気で走るバス)ロープウェイなどを乗り継いで往来できる立山登山には欠かせない交通機関である。

詳細は以下を参照。

 

登山のアプローチや富山と長野を繋ぐ交通機関という役割もあるが、利用客の大半は観光目的である。

 冬季は積雪で閉ざされ、春先の開通の時期に巨大な雪の壁の中をバスが通っていく光景などが毎年テレビのニュースで取り上げられる。

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そんな報道の影響などもあってか近年は海外からの観光客も増えているようだ。

 

そんな次第でおれとしても、今回は家族旅行なわけだから基本は観光、という態度で臨んだわけだが、そう見せかけて隙あらば立山の山頂でも踏んできてやろうという密かな目論見がないわけではなかった。

というか、ここまできて登らないなんてことがあり得るのだろうか。。

まあとりあえず行ってみよう!

 

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地鉄富山地方鉄道)の立山駅まで車で送ってもらって、まずはケーブルカーで美女平へ、約500mほど標高を上げる。抜けるような秋の青空を見上げれば、山頂への期待は自ずと高まる。

 

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美女平の標高は977m。ここから立山高原バスで2450mの室堂まで上がる。バスが通る道は一般車は通行できない。途中巨木や滝(称名滝)などの見どころではスピードを落として通過するが、止まることはない。

 

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標高2000mあたりで森林限界を超えると見晴らしが一気に開け、まさに別天地のようになってくる。周囲の山々を見渡しながら、雲の上までバスは登っていく。

 

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丘の向こうに立山連邦が見えてくると程なくして室堂ターミナルに到着だ。

 

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室堂駅から出てみれば、あたりはうっすらと雪化粧。。

で、空気も冷たい。。

 

この旅行を決めた時はまだ雪などなかったのだが、一週間ほど前に例年よりずいぶん早く初雪が降ってくれたおかげで、立山はもはやハイキング気分で気楽に登れる状態ではなくなっていた。

室堂平の遊歩道でも路面が凍結している箇所も多く、散歩するのも危なっかしい感じだ。

富山に着いた時点で叔母ちゃんには「もう冬山だから」と釘を刺されていたのだが、下界にいるとその辺がにわかに信じ難く、「そんなこと言ったってなんとかなるんじゃない?」などと甘い期待を持っていたのだが、実際に目の当たりにしてようやく状況を飲み込むことができた。

 

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そんなわけで立山登山はお預けで室堂平の遊歩道を小さく一周。途中ムスメが滑ってコケて泣こうものなら「それみたことか」とヨメから無言の圧力がかかる。

ほんの少し歩いてミクリガ池までいっただけで今回はあえなく撤退となったのだった。

 

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いつの日か。。

立山リベンジを心に誓い室堂を後にした。

 

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トロリーバスはトンネルの中を電車みたいに電線から電気を取り込みながら走るバスである。バスの格好をしているがWikipediaによると無軌条電車ということで鉄道に分類されるらしい。

日本で現存する路線はこの室堂から立山の真下を通って裏側の大観峰へ抜ける路線と同じアルペンルート黒部ダムから扇沢までの二路線のみとのこと。バスが一台やっと通れる感じのトンネルをひたすら走っていくので車窓の眺めはコンクリートの壁のみだが、最後部の席に座ってトンネルと後ろから走ってくるもう一台のバスを眺めていると意外と楽しくて飽きなかった。

 

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トロリーバスを降りて大観峰駅屋上の展望台に出る。振り返ると普段見慣れた(見慣れてもないが)立山の裏からの眺め。そして正面には。。

 

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黒部湖と後立山連峰のパノラマビュー。

正面が赤沢岳、左の奥が鹿島槍ヶ岳、右手のトンガリは針ノ木岳?

正直素人には普段あまり馴染みのない山々だが、圧倒的な壮観だ。

 

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大観峰からロープウェイで降って黒部平、さらにケーブルカーで黒部湖駅まで下る。

 

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黒部湖から先は、徒歩でダムを渡ると黒部ダム駅。そこからまたトロリーバスに乗って扇沢まで抜ける。そこから先は路線バスでJR線の信濃大町駅にいくことができる。関東からだと長野側から黒部湖まで来れば裏側立山に登ることもできるが、室堂よりも約1000m標高が低くなるので登山としてはかなりハードなものになる。ちなみに黒部湖の標高は1455m。

 

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黒部湖と黒部ダム。ダムというのは水を堰き止めてる壁のことでそれによってできた水たまりが湖(人造湖)なのである。知ってた?

 

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ダムカレーとダム。ご飯が山?カレーが湖?カツがダム?よくわからんけど並べてみるとなんとなくわかったような気分になる、か??

ダムでダムカレーを食べたところでなんとなく目的を達成したような気分になれた。

 

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あとは来た道を大人しく戻るのみ。往復だとそれなりに運賃が嵩む。関東方面から公共交通機関を使ってアルペンルート立山登って富山観光といくなら扇沢から来て富山に抜けて新幹線で帰るとか、そんな流れで楽しんだ方が無駄がなくて良さそうだ。

 

◼︎オチもないので適当にまとめ

山の後は宇奈月で温泉に浸かり、翌日は上市町の母親の実家周辺、おれにとっても思い出深く懐かしい辺りをのんびりと散歩して回った。今は無くなった母親の実家の前の道からも、その裏を流れる上市川からも山の方角を見れば剱岳が目に入る。

なんとも贅沢な場所だなと思うと同時に、山に興味を持つまではそんなことはついぞ思わなかった自分を省みる。

そしてそんなことには関係なく山はずっとそこにあったのだなと、当たり前のことに思い至る。

 

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なんとも静かで長閑な町。都会とは時間の流れ方が違っているように感じる。

旅行者として外側から眺めているからそう感じるのだろうか。

それが日常になればこの心地よい感じにもすぐに慣れて、何も感じなくなるのだろうか。。

 

そんなわでけで今回の旅では個人的な諸々や山への興味といった面と並行して、地方でなんらか生活の基盤を作る糸口でも見い出せないもんかという目的も合わせてあれこれ見て回ったのだが、正直なところ「これだ!」というような答えを見つけるには至らなかった。

 

まあそんなものがおいそれとそこら辺に転がっているわけもないし、それより何より自分自身の中にそれを活かす準備がなければいくら良いネタがあっても目に入らなかったりするものなんだろう。

中途半端に2兎も3兎も追いかけるもんじゃないなというのも今回の教訓である。 

 

以上、なんか取り留めのない感じの話になってしまったが、旅行としてはなかなかに楽しめたのでそれでよしということで。

 

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◼︎当時はこんなことも考えていたようだが。1年前の自分の浅知恵が微笑ましい。。

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◼︎ 国内ではダントツに幸福度の高い福井や富山について書かれた良ルポ。

福井モデル 未来は地方から始まる

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